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わっぱはここが違う

1970年代初頭、わっぱの会では「福祉施設は障害者を隔離・収容する場になっている」と考え、多くの福祉施設や小規模作業所のように職員と障害者という分け方で障害者を管理指導するのではなく、障害の有無を超え、上司や同僚の関係ではない、血縁的な家族でもない、共に働き、生活する仲間づくりを模索してきました。
その具体的実践を紹介します。

分配金制度という相互扶助の賃金体系

より多くの成果を上げた人が、より多くの給料を受け取ることができるのが今の社会では一般的かもしれません。
しかし、極端な成果主義のもとでは、仕事に就くことが困難な障害者は年金以外の収入を得られません。

わっぱの会では、みんなが助け合って生きることができる賃金体系をつくりあげています。
いわゆる給料のことを、分配金と呼んでいます。
どんなに重い障害がある人も相応の仕事をすることで、だれもが最低限の自立生活を保障され、分配金を受け取れるようになっています。

1、お金
自立生活ができるだけの金額を保証します。
わっぱの会では、無添加パンの製造やリサイクル工場などビジネスを通して事業収入を確保し、障害のある人もない人も経済的自立を達成しています。

1万円未満の工費(給料)
多くの小規模作業所や授産施設では簡単な下請けや内職仕事が多く、売り上げはわずかです。そのため、障害者の収入はきわめて少ないのが現状です。

2、関係性
対等な関係、平等な分配金
わっぱの会では、障害のあるなしでの区別はもうけておらず、分配金という名の給料も成果・能力には基づいていません。

雇用関係の有無
小規模作業所や授産施設では職員(先生)と利用者(障害者)の立場が明確に区別されています。
職員は雇用関係に基づいた給与が保障されますが、利用者は雇用関係がありません。
そのため、工賃といわれるわずかな賃金が支給されるだけです。

普通に仕事しよう

障害があると普通の仕事をするのが難しいと思われがちです。
その結果、小規模作業所などは、簡単な下請け仕事や内職仕事をしています。
それでは経済的に自立することは困難です。
障害がもつ人たちも今の社会に求められる商品やサービスを提供すること、それは創意工夫と努力で可能です。

3、ビジネスセンスの導入
競合できる商品・サービスの開発
わっぱの会では、消費者のニーズに応え、市場で競争できる商品やサービスを作り出しています。
安全な食品や環境にやさしい仕事を作り出すことも心がけ、そのことが商品やサービスの付加価値を高めてもいます。
今後の発展は、既存商品やサービスの売り上げをのばすだけではなく、行政や企業との連携強化にかかっていると考え、新たな展開を模索中です。

マーケティングの欠如
クッキーなどの自主製品をつくる施設もありますが、市場のニーズを考慮しない商品が作られているため、売り上げ増は困難です。
行政補助の増額は職員人件費の増額につながりますが、そこで働く障害者の生活には何の影響も与えません。

人をつなぐ-共同体としての精神

かつて社会は地域共同体としてのきずなを強く持っていました。
しかし、経済発展に伴い、個人単位での経済生活が中心となり、地域社会の共同性が失われつつあります。
その結果、障害のある人が家族や地域社会の中で生きることが難しくなり、福祉施設や福祉制度の対象としてしか生きられなくなってしまいました。
障害者の生活を小さな家族に責任を押しつけるだけではなく、地域社会の共通の課題としなければなりません。
わっぱの会では、地域社会の中に共働と共生の拠点としていくつかの「共働事業所」「共同生活体」をつくっています。
そこから、新しい地域社会の創造をめざしています。

テーマをつなぐ-働くこと、くらすこと、運動をつなぐ

障害者運動の多くは、「働くこと」、「生活すること」、「学ぶこと」などのテーマがそれぞれ独立した課題として取り組まれています。
また社会運動を進める人の中でも、職場での取組みと自分の暮らしがバラバラであったりします。
わっぱの会では、ひとりひとりが働くこと、生活すること、運動すること一これらをつないで取り組んでいます。
わっぱの会は、障害のある人ない人だれもが「働くこと」「生活すること」を結び付け、そこから社会に働きかける運動に取り組んでいく場です。